口から出てどこに行くのか

 

大蛇は当然、私の身体の中に納まるようなものではなく、

その時、私は仕事帰りのバスの中だったのだが、

そいつは、私の状況などお構いなく、

猛烈な吐き気とともに私の口の中から、出てきた。

 

出て行って、それで終わりだったらいいのだが、

そんなわけにもいかない。

 

出てきて、ぬめぬめと私の周りに巻き付いているような感覚。

この大蛇は、37年間、私の中に眠っていた。

いや、私がぶつ切りにして捨ててきたもの。

「なかった」ことにしてきたもの。

 

37年間の私の、怒り、悲しみ、孤独・・・

そんなマイナスの感情のすべてだ。

 

母に対する怒り、姉に対する怒り、父に対する怒り。

ずっと孤独だった。

ずっとしんどかった。

ずっと一人だった。